2.脳卒中と季節、時間

 脳卒中は、冬に多く発症することが経験的に知られています。
 脳卒中発症登録では、病型によって差のあることがわかりました。
 出血性脳卒中では、明らかに夏に低くなり冬に高くなります。脳梗塞ではその差が小さく、春先にやや高くなるようです。(図22)

【 図22 】


  発症時間の特徴を見ると、脳出血、くも膜下出血では午前7時と午後5時に多く、心房細動が合併した脳梗塞では午前中に多いようです。(図23)

【 図23 】

 寝ている時には副交感神経の働きが活発となり交感神経は抑制されます。
この状態では、胃腸などの消化器の働きは活発になりますが、血圧や脈拍、呼吸数は低下します。
目覚めると、交感神経が優位となって循環器や呼吸器の働きが活発になり、血圧も上昇します。この状態になると心臓に負担がかかるため、午前中に心筋梗塞が多く発症することが知られています。

 出血性脳卒中では、出血の直接的な引き金は、血圧が突然上昇して血管の破綻をもたらすものと思われます。午前中の発症は、このような生理的変化が影響していると思われます。さらに、血圧降下薬の作用時間、服用の忘れなどが午前と午後の変化を修飾している可能性があります。
発症の季節や時間変化は、瞬時の血圧上昇も関連して有効な対策が立てにくい要素もありますが、血圧を低い値で安定させることが予防になります。

知って納得!脳卒中の知識



知れば防げる脳卒中

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