脳卒中はがんや心臓病、糖尿病、高血圧などとともに生活習慣病の一つとされているヨ。
脳卒中は人口の高齢化とともに発症数が増大!病気を持ちながら生活する人、治療を受ける人が増えているんダ。

脳卒中の代表的な症状と頻度
■脳梗塞と脳出血
 脳梗塞とは、脳の血管が詰まって血液が流れなくなる病気です。
 脳出血は、脳の血管が切れて出血する病気です。

■くも膜下出血
 くも膜の下すなわち、くも膜と軟膜の間の脳脊髄液中に出血した状態がくも膜下出血で、その名前の由来となっています。くも膜下出血は原則的に外科的治療を行います(約7割)。

中央及び中央から放射状にみえるすじが白くなっていて、髄液に血液が混じっていることがわかります。

1)脳卒中の定義と発症数、病型割合

「A.脳血管が原因となり、B.突然、C.意識障害や中枢神経の障害を起こす」病気を総称して脳卒中と呼びます。脳卒中の原因となる疾患は、1.脳出血、2.脳梗塞、3.くも膜下出血の3つに分類されます。秋田では、脳卒中は再発を含めて年間3000人程度が発症していて、脳梗塞が60%、脳出血が27%、くも膜下出血が13%を占めています。(図1)
 図では、さらに脳卒中を細かく分けています。このように脳卒中は脳の発症した部位や原因により被殻出血や脳塞栓など様々な名前がつけられています。これらの名称で呼ばれるものは全て脳卒中です。

 
2)脳卒中の代表的な症状

 脳卒中発症時にa).運動まひを示す人が4人に3人、b).意識障害を示す人が3人に1人、c).頭痛を訴える人が4人に1人、d).嘔吐する人が5人に1人います。これらの症状は脳卒中発症を疑うきっかけになる重要な症状で、それぞれの病型で症状の特徴があります(図2)。

1.脳出血は82%に運動まひを伴い、これは脳梗塞とほぼ同じ割合です。症状は脳梗塞より重症で、53%の人に意識障害、30%に頭痛や嘔吐を伴います。

2.脳梗塞は、最も軽症の脳卒中です。85%の人に運動まひを伴い、23%に意識障害が認められ、頭痛や嘔吐はまれで9%の人に認められます。

3.くも膜下出血は、56%が意識障害を示しますが、脳梗塞や脳出血と違い運動まひは24%しか示しません。特徴的な症状は、頭痛(80%)と嘔吐(63%)です。他の病型と異なり、女性に多いことも特徴です。運動まひや意識障害があれば多くの人は脳卒中を疑いますが、その症状がなくとも突然の強い頭痛と共に嘔吐が出現した場合は、くも膜下出血を疑い検査を受けてください。1回目のくも膜下出血を見逃して、再度くも膜下出血を起こすと大多数が死亡します。

 
3)脳卒中は寿命を縮めます!

脳卒中を起こすと発症1ヶ月以内に11%が死亡します。病型別にみると脳梗塞は6%、脳出血は15%、くも膜下出血は27%が1ヶ月以内で死亡します。(図3)
 その後は長期にわたり、寝たきりや高齢など虚弱な人から多く死亡します。脳卒中になった人の平均余命は、脳卒中にならなかった人より数年短くなります。

 
4)脳卒中後遺症で不自由な生活も多いです

 脳卒中は運動まひなどの後遺症を残す場合が多く、60%の人が発症後の生活に支障をきたしています(図4)。
 寝たきりの人は8%、部分的介助がないと生活ができない人は18%におよびます。また3人に1人は痴呆症状が認められます。秋田県では、過去に脳卒中を患った人が27000人生活していると推測されています。そのうち16000人は何らかの不自由な生活を強いられています。高齢化が進むとその数も増大します。環境も含めて、障害を残した人の社会参加を手助けする対策が早急に必要です。



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