2.くも膜下出血の症状にはとりわけ注意

 運動まひがあれば多くの人は脳卒中に気づきますが、意識が保たれているくも膜下出血では運動まひを伴うことはまれで、他の病型では運動まひを伴うものが80%であるのに対し24%に留まります。
くも膜下出血は脳出血と同様に意識障害を伴う割合も56%ときわめて高いのですが、脳出血と異なる点は、脳動脈瘤が破裂した瞬間に意識障害が起き、短時間に回復するなど症状の変化に富むことです。他の病型と比べて特徴的な症状としては、突然起きる頭痛とそれに続く嘔吐で、それぞれ80%、63%を占めます。(図4)

【 図4 病型別にみた症状 】


 意識が良い場合でも嘔吐を伴うのがくも膜下出血の特徴で、頭痛のみの人でも吐き気を含めると大多数の人が頭痛とむかむかする感じ、嘔吐を主訴にします。(図5)

【 図5 くも膜下出血で意識が保たれている人の症状の組み合わせ 】

 意識障害が加われば、重大なことが起きたと誰でも思いますが、頭痛と吐き気のみでは風邪と思って見逃してしまうこともあります。その後、頭痛は少しずつ和らいできますから、病気が治ったと思い込んでしまいます。しかし、一度破裂した脳動脈瘤は容易に再破裂します。再度のくも膜下出血は初回と比べ、多くの人が死亡する結果となります。

 脳卒中らしい症状がなくとも突然の強い頭痛と共に吐き気や嘔吐が出現した場合は、くも膜下出血が強く疑われます。ただちに検査を受けてください。





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知れば防げる脳卒中

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